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誹謗中傷の重要知識

誹謗中傷対策のポイント|主なサイト別で解説

インターネット上の誹謗中傷は、閲覧者が多い有名サイトに集中します。
そして、サイトごとに保管している情報や削除請求等への対応が異なるため、どこに削除請求・投稿者情報開示請求をするかによって、費用や手続期間、相手を特定できる可能性にも影響を与えます。

ここでは、誹謗中傷対策で問題となりやすい主なサイトそれぞれの削除請求や発信者情報開示請求のポイントをまとめました。

なお、実際に請求をするにあたっては、弁護士に各サイトの近況をご確認ください。突然サイト側の対応や裁判所の運用が変わってしまうことがあるからです。
また、2022年10月1日から施行された改正プロバイダ責任制限法により、今後各サイトへの適切な対処方法が変わってくる可能性もあります。

[参考記事] プロバイダ責任制限法|改正ポイントをわかりやすく解説

1.2ちゃんねる(2ch.sc)

2ちゃんねるは「ひろゆき」氏により創設された日本最大の匿名掲示板です。紆余曲折により、現在の「2ちゃんねる」はもとの2ちゃんねるとは別に新たに作られたものです。

以前は削除請求・発信者情報開示請求ともに、シンガポールのパケットモンスターという法人を相手に請求する慣行が定着していました。
ところが、2021年4月に法人登記から代表者の表示が消えたために上記の請求方法ができなくなり、混乱が生じています。

2022年11月現在の運用では、民事訴訟法35条及び37条にもとづいて、いなくなってしまった法人代表者の代理人となる「特別代理人」を裁判所が選任するよう、報酬予納金5万円ほどを支払い申し立てることになっています。

専門的な対応が必要となるため、弁護士への相談が大切です。

[参考記事] 2ちゃんねるで誹謗中傷された!削除・開示請求について

2.5ちゃんねる

かつての「2ちゃんねる」は、内部紛争を経てサイト管理者が移り変わり、名称も変更されました。それが5ちゃんねるです。
現在はフィリピン法人である「ロキ テクノロジー」がサイト管理者となっています。

5ちゃんねるはメールでの削除請求にも対応していますので、まずはメールでの請求を検討しましょう。
フィリピンはいわゆる「送達条約」に加盟していないため、法的な処置で削除請求を行う場合、長い時間がかかってしまう可能性があります。

また、発信者情報開示請求については、通信記録が消えてしまう前に開示を受けられるよう送達を行わない無審尋手続が認められています。
供託金が通常よりも多い30万円となりますが、手続が終われば取り戻せます。

[参考記事] 5ちゃんねるの誹謗中傷|書き込み削除・特定・開示請求方法

3.爆サイ

爆サイのサイト管理者等は不明確ですが、運営による対応は行われています。

爆サイは被害者本人からの任意削除請求に応じるケースもありますが、削除後は発信者情報開示請求がほぼ不可能になってしまいます。
発信者情報開示請求、ひいては書き込んだ人間への損害賠償請求を検討していらっしゃるならば、まず弁護士にご相談ください。

IPアドレスの開示請求については、発信者情報開示請求書を用いて任意請求することも可能です。
ただし、運営が開示するまでに時間がかかり通信会社の通信記録が消去されてしまうリスクがありますので、発信者情報開示請求命令によるIPアドレス開示請求も検討しましょう。

[参考記事] 爆サイの書き込みを削除したい・投稿者を特定したい場合の手続

4.ヤフー(Yahoo!知恵袋)

Yahoo!知恵袋の質問や回答について、ヤフーは削除や発信者情報開示に消極的です。

削除請求

Yahoo!知恵袋の削除請求では削除範囲がポイントです。
質問あるいはベストアンサーに違法性が認められれば質問と回答すべてが削除されます。一方、ベストアンサー以外の回答にしか権利侵害がないときは、その回答しか削除できません。

Yahoo!は、仮処分が決定されても、同じ裁判所に再度の判断をさせる「保全異議」、さらには高等裁判所に判断を求める「保全抗告」をすることさえあります(もっとも、裁判所が削除すべきと決定すれば、その判断に基づいて削除に応じます)。

そこで、Yahoo!に直接、任意の削除請求をすることも検討します(削除依頼フォーム、あるいは送信防止措置依頼書の送付)。

情報開示

開示請求については、通信会社ではなくYahoo!から住所氏名等の開示を受けられる可能性があります。投稿者がヤフオクを利用していれば、オークション用のアカウントを経由して個人情報を見つけ出せるからです。

IPアドレス開示が遅れると、通信会社に住所氏名等の開示請求をしても通信記録が消去済みで開示不可能となってしまうおそれがありますので、まずはYahoo!への開示請求を行うことを考えます。

[参考記事] Yahoo!知恵袋への削除・発信者情報開示請求

5.Twitter

削除請求

Twitterでは、任意請求によりアカウント凍結がされることもありますが、あくまでTwitterの判断次第です。その投稿のほとんどが誹謗中傷であるなど例外的なケースを除きなかなか認められません。
一方、仮処分などの裁判手続によれば、裁判所が違法と判断した投稿を削除できます。

Twitter社との審尋手続を経て仮処分決定が発令されると、2~3週間程度で投稿は削除されます(Twitter社の方針により、供託金は不要となっています)。
なお、その後も「検索結果」には削除された投稿が残ってしまうことがあります。この場合、別途、検索結果の削除請求を行うかご検討ください。

発信者情報開示

Twitterから開示されるIPアドレスは「ログイン時IPアドレス」です。各投稿がされたときの投稿時IPアドレスは、保存されていないため開示されません。
ログイン時IPアドレスは投稿そのものの情報ではありません。「開示できる発信者情報は、権利侵害を行った投稿に関連するものに限るべき」が、法律の建前であり裁判所のスタンスでした。

しかし、2022年10月1日から施行の改正プロバイダ責任制限法は、ログイン・ログアウト通信を「侵害関連通信」と名付け、発信者情報開示請求に組み込みました(5条3項)。

そのうえで、ログイン型サイトに対してログイン時IPアドレス開示請求を、ログイン・ログアウトに利用された通信会社に対して住所氏名開示請求を可能としています。

アカウント開示請求

発信者情報開示請求が失敗してしまったとき、アカウントに設定されているメールアドレスや2段階認証用の携帯電話番号をTwitterに開示請求できる可能性があります。
手続は通常の裁判か、アメリカの「ディスカバリ」と呼ばれる情報開示制度を利用します。

ディスカバリは相手からの反論がなければ1か月で情報開示されることもありますが、Twitterは反論をしてくるでしょう。

[参考記事] Twitterへの削除請求・発信者情報開示請求

6.インスタグラム(Instagram)

インスタグラム(Instagram)ではなりすましによる被害が多発しています。
この場合、個別の投稿というより、なりすましたアカウント全体が問題となります。

インスタグラムが開示するIPアドレスもTwitter同様ログイン時IPアドレスですが、アカウントを対象として削除・発信者情報開示請求をするため、Twitterなどと比べれば障害となりにくいでしょう。
電話番号やメールアドレスの開示請求訴訟も見据えて検討してください。

注意点としては、アカウント削除後はすぐに関連情報も消去されてしまうことです。迅速な対応が必要となります。

[参考記事] インスタグラムへの削除・発信者情報開示請求

7.Google(口コミ)

Google検索やグーグルマップ等で表示される口コミには、商品やサービスに対する評価が投稿されることが一般的でしょう。
評価、つまり意見論評が名誉棄損となるには、その意見の前提事実が「嘘」だといえることが必要です。

任意請求で削除する場合、フォームあるいはグーグルマイビジネスに登録してGoogleに報告します。
任意では削除されなければ仮処分や非訟事件を申し立てます。

一方、グーグルは任意の発信者情報開示請求に応じませんので、裁判所を用いて手続きを行います。
開示が決定されてもGoogleからの開示が遅れてしまうことがありますので、迅速な申し立てが重要となります。

IPアドレスをたどれなければ、Googleアカウントのメールアドレスや2段階認証用の携帯電話番号をグーグルに請求できないか検討しましょう。裁判を始めるまで時間はかかりますが、通信記録消去によるリスクは抑えられます。

[参考記事] googleマップの口コミ削除|嫌がらせ・名誉毀損・営業妨害対策

8.Google(検索結果)

グーグルなどの検索エンジンによる検索結果で、違法な投稿を含むサイトが表示されているとき、検索結果の表記(サイトのタイトルやURL、要約)を削除請求できます。
サイトから抜粋された要約(スニペット)に中傷が含まれている必要はなく、検索結果のリンク先サイトに削除されるべき誹謗中傷があれば、裁判所は検索結果の削除を認めています

関連キーワード(オートコンプリート、サジェストとも)の削除請求については、単語の羅列に過ぎないとして裁判所は認めない傾向が強いため、フォーム等からの任意請求をまずは検討しましょう。

なお、Yahoo!検索はグーグルと連動しているため、グーグルの検索結果が削除されればYahoo!検索の表示も削除されます。
一方、マイクロソフトBingに対しては別に削除請求が必要です。

[参考記事] 検索結果の削除請求について(総論)

9.アマゾン(Amazon)

アマゾン(Amazon)のレビューも意見論評です。商品に対する評価の中に「人」への攻撃が紛れていないか見つけ出し、その前提事実が虚偽であるとすれば法的請求の道が開けます。

アマゾンは他の海外サイトと異なり、日本法人に対して裁判できる可能性があります。
(海外法人相手に正式な裁判を始めるまでには、半年ほどかかってしまいます。)

アマゾンの日本法人を相手として裁判ができれば、日本の通信会社に対する開示請求訴訟と同程度の期間で、アマゾンが持つ住所氏名等の情報を手に入れられます。

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