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誹謗中傷の重要知識

名誉毀損は法人・企業が被害者の場合にも成立する?

インターネット上での誹謗中傷は、店舗・施設などの運営会社に矛先が向くケースもあります。

個人が被害者になる場合と同様に、法人・企業に対する誹謗中傷等についても名誉毀損罪が成立するほか、加害者に対して損害賠償を請求することができます。もしご自身の経営する法人・企業に対する誹謗中傷の投稿を発見した場合には、速やかに弁護士までご相談ください。

今回は、法人・企業を被害者とする名誉毀損につき、成立要件や具体例などを解説します。

1.名誉毀損とは?

名誉毀損とは、誹謗中傷などによって他人の社会的評価を下げる行為です。刑法では「名誉毀損罪」(刑法230条1項)、民法では「不法行為」(民法709条)として、それぞれ名誉毀損に当たる行為を禁止しています。

名誉毀損罪を犯した者には、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」が科されます。被害者は、加害者を名誉毀損罪で刑事告訴することが可能です。

また、名誉毀損によって不法行為が成立する場合、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できます。

名誉毀損についての詳しい解説は、以下の記事をご参照ください。

[参考記事] 名誉毀損罪とは?要件・成立事例・被害への対処法など

2.名誉毀損は法人・企業が被害者の場合も成立

刑法上の名誉毀損罪および民法上の名誉毀損(不法行為)は、被害者が個人である場合に限らず、法人・企業が被害者の場合にも成立する可能性があります。

(1) 法人・企業に対する名誉毀損罪(刑事)

刑法230条1項では、名誉毀損罪の客体(被害者)を「人」と規定していますが、「人」には法人も含まれると解されています(大審院大正15年3月24日判決)。

名誉毀損罪の保護法益は「外部的名誉」(社会からの評価)であるところ、法人についても個人と同様に、外部的名誉の毀損が問題になり得るからです。

したがって、誹謗中傷等のターゲットが法人・企業である場合にも、加害者に名誉毀損罪が成立することがあります。

(2) 法人・企業に対する民法上の名誉毀損(不法行為)

民法上の名誉毀損(不法行為)が成立するのは、故意または過失による誹謗中傷等の言動により、他人に対して違法に損害を与えた場合です。

この点、法人・企業に対する誹謗中傷等は、前述のとおり、名誉毀損罪に該当する違法行為となります。
また、法人・企業に対する誹謗中傷等が行われた場合、商品・サービス・ブランドなどに対する社会的評価が下がり、収益や人材確保などに悪影響が生じる可能性があります。

つまり、法人・企業に対する誹謗中傷等も不法行為となる場合があります。

誹謗中傷等が不法行為となる場合、法人・企業も個人と同様に、加害者に対して損害賠償を請求できます。

3.法人・企業に対する名誉毀損罪に当たる具体例

名誉毀損罪の構成要件は、以下のとおりです。

①公然と行われた言動であること
「公然」とは、不特定または多数の人に伝わる可能性がある状態を意味します。

②何らかの事実を摘示したこと
言動の中で、被害者に関する何らかの事実が掲げられていることが必要です。

③当該言動によって他人の名誉を毀損したこと
被害者の外部的名誉(社会的評価)を低下させる性質の言動であることが必要です。なお、実際に社会的評価が下がったことは必要ありません。

上記の名誉毀損罪の構成要件を踏まえて、法人・企業を被害者とする名誉毀損罪が成立する場合の例をいくつか見てみましょう。

インターネット上の投稿については、「公然と行われた言動であること」の要件は問題なく満たします。
したがって、残りの「何らかの事実を摘示したこと」「当該言動によって他人の名誉を毀損したこと」の要件を満たすかどうかがポイントです。

(1) 商品・サービスの評判を不当に貶める投稿

法人・企業が販売する商品やサービスについて、根拠のないネガティブな事実を摘示して不当に貶めるような投稿をした場合、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

(例)
・A社の販売する食品は、産地が偽装されている(実際には、産地偽装の事実はない)。
・B社が提供するアミューズメント施設のメダルゲームは、宣伝されているよりも当たる確率が低い(実際には、宣伝どおりの当選確率が設定されていた)。

この場合、根拠のないネガティブな事実を摘示している点で、「何らかの事実を摘示したこと」の要件を満たします。
また、ネガティブな事実の摘示によって法人・企業の社会的評価が低下するおそれがあるため、「当該言動によって他人の名誉を毀損したこと」の要件も満たします。

したがって、商品・サービスの評判を不当に貶める投稿を行うと、法人・企業に対する名誉毀損罪が成立し得ると考えられます。

(2) 経営陣や従業員を誹謗中傷する投稿

法人・企業に対する直接の誹謗中傷でなくとも、所属する経営陣や従業員に対する誹謗中傷の投稿が行われた場合、法人・企業との関係でも名誉毀損罪が成立する可能性があります。

(例)
・C社の代表取締役Xは、暴力団との繋がりを持っている(実際には、暴力団との繋がりはない)。
・D社の看板従業員としてメディアに登場しているYは、複数の異性と不倫をしている(実際には、不倫の事実はない)。

上記のような投稿が行われた場合、経営陣や従業員に関するネガティブな情報の摘示は、法人・企業に関する事実の摘示と評価することもできるでしょう。

また、法人・企業のイメージは、所属する経営陣や従業員に対する印象とも密接な繋がりを持ちます。そのため、上記の各投稿は、法人・企業の社会的評価を下げる性質のものに当たります。

したがって、経営陣や従業員を誹謗中傷する投稿は、被害者個人に対する名誉毀損罪と同時に、法人・企業に対する名誉毀損罪の対象にもなり得ると考えられます。

4.名誉毀損罪が成立しないケース

投稿によって法人・企業の社会的評価が害されるとしても、合理的な根拠のある正当な言論の場合は、表現の自由(日本国憲法21条1項)によって保護すべきと考えられます。

そこで、刑法では「公共の利害に関する場合の特例」(刑法230条の2)として、例外的に名誉毀損罪が成立しない場合を規定しています。

(1) 公共の利害に関する場合の特例の要件

公共の利害に関する場合の特例は、名誉毀損罪の構成要件を満たす言動が、以下の3つの要件をすべて満たす場合に適用されます(刑法230条の2第1項)。

①言動が、公共の利害に関する事実に関係すること
※公訴未提起の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなされます(同条2項)。
②言動の目的が、専ら公益を図ることにあったと認められること
③言動の中で摘示した事実について、真実であることの証明があったこと
※公務員または公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合は、①および②の要件が免除されます(同条3項)。

なお、言動が特定の事実を前提とする意見・論評の場合、③の真実性の証明については、前提とする事実が重要な部分について真実であることの証明があれば足りると解されています(最高裁平成9年9月9日判決参照)。

(2) 真実性を誤信した場合の取扱い

公共の利害に関する場合の特例の要件の1つである真実性の証明について、摘示した事実が真実であると誤信した場合に、名誉毀損罪の故意が否定されるのかどうかが問題となります。

この点、最高裁の判例では、誤信につき確実な資料・根拠に照らして相当の理由がある場合には、名誉毀損罪の故意が否定されると判示しました(最高裁昭和44年6月25日判決)。同最高裁判例の背景には、名誉毀損罪の範囲を広く設定した場合、表現行為に対する過度の萎縮効果が発生しかねないとの問題意識があると考えられます。

(3) 名誉毀損罪が成立しない投稿の例

公共の利害に関する場合の特例の要件を踏まえると、以下に挙げる投稿については、法人・企業の社会的評価を害するものであったとしても、名誉毀損罪が成立しない可能性が高いと考えられます。

①会社や構成員の違法行為を告発する投稿

会社や経営陣・従業員による違法行為の告発は、消費者や取引先などが購買・取引などに関する意思決定を行う際の重要な参考情報となるため、公共の利害との関連性および公益目的が認められる可能性が高いです。

よって、違法行為の存在が真実であることの証明があった場合、または違法行為がなかったとしても、あると信じたことにつき確実な資料・根拠に照らして相当な理由がある場合には、名誉毀損罪は成立しないと考えられます。

②商品やサービスの品質に関するネガティブな感想

商品やサービスの品質に関する感想は、消費者が購買に関する意思決定を行う際の重要な参考情報となるため、公共の利害との関連性および公益目的が認められる可能性が高いです。

商品やサービスを利用したうえでの感想は、品質等に関する事実を前提とした意見・論評に該当します。

したがって、感想の前提となっている品質等に関する事実につき、重要な部分について真実であることの証明があった場合、または真実であると信じたことにつき確実な資料・根拠に照らして相当な理由がある場合には、名誉毀損罪は成立しないと考えられます。

5.法人・企業に対する名誉毀損にお困りなら弁護士へ

法人・企業に対する誹謗中傷投稿を放置していると、風評被害の拡大により、売上減少や企業イメージの低下に繋がってしまいます。そのため、速やかに投稿の削除を求めて行動することが大切です。

また、誹謗中傷への毅然とした対応方針を社会にアピールするためには、加害者の刑事上・民事上の責任を追及することも重要です。弁護士にご相談いただければ、加害者の特定・刑事告訴・損害賠償請求など、法的責任を追及するための手続を全面的にサポートいたします。

法人・企業に対する名誉毀損の被害にお悩みの経営者の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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