風俗嬢がネット誹謗中傷で損害賠償請求をする場合の注意点
風俗嬢の多くは、インターネット、特に爆サイやホスラブなど風俗系サイトで深刻な誹謗中傷に悩まされているかと思います。
投稿者への損害賠償請求をすることにより、精神的な負担をお金で補えるだけでなく、悪質な投稿者に誹謗中傷を繰り返さないよう強く釘を刺すことができます。
ここでは、誹謗中傷被害を受けている風俗嬢の方に対して、投稿者に損害賠償請求する際の流れとポイントを説明しましょう。
1.どんなときに損害賠償請求すればいい?
誹謗中傷対策としては、投稿の削除も重要な選択肢となります。
削除するだけならば、費用をかけてまで特定する手間は不要です。
風俗サイトでは、被害者本人からの削除依頼を受け付けていることも多いようです。
一方、損害賠償請求では、手続が上手くいかず、費用倒れになるリスクもあります。
それでもなお、損害賠償請求までするべきは以下のようなケースです
- 投稿が悪質すぎる
現実に深刻な問題を引き起こしそうなほど悪質な投稿に対しては、投稿者を特定して金銭的負担を負わせることで再発防止を徹底する必要性が高くなります。 - 削除しても再発した
削除されたはずの投稿が繰り返される、場合によっては頻度や回数が増え粘着質になるなど、事態がより悪化することもありますので、再発防止策が必要です。 - 炎上リスクがある
風俗バレが炎上に発展する恐れに注意しなければいけませんので、賠償請求により釘を刺すことができるでしょう。
2.どんなときに損害賠償請求ができる?
誹謗中傷対策として損害賠償請求が効果を発揮しそうなケースでも、そもそも損害賠償請求ができるかどうかが問題になります。
(1) 権利が違法に侵害されている
損害賠償請求ができるのは、投稿により違法な権利侵害が生じているケースです。
名誉権やプライバシー権などが侵害されているとの主張を裁判所が認めるか、法令や裁判所の判断により作られた基準に基づいて事前に予測する必要があります。
(2) 投稿者を特定できる
風俗系サイトは匿名サイトがほとんどです。風俗の話題について、しかも誹謗中傷を実名で書き込む人間はまずいないでしょう。
投稿者の特定は、事実上、損害賠償請求の条件となっています。
発信者情報開示命令については、以下のコラムをご覧ください。
[参考記事] 風俗嬢に誹謗中傷してきた相手を特定するには3.請求できる損害賠償金の種類
インターネットの誹謗中傷では、慰謝料・調査費用の二つが主に請求できる損害賠償金となります。
(1) 慰謝料
侵害された権利、投稿内容、頻度や回数、経緯などの諸事情によりますが、裁判所が判決で認めるネット誹謗中傷の慰謝料相場は、10万円〜100万円です。
性的プライバシー・下劣な内容・一方的な粘着行為などについては裁判所も厳しい態度を取る傾向がありますので、風俗嬢への誹謗中傷は相場の中でも比較的高額の慰謝料を狙える可能性が高いと言えます。
上記のような投稿の悪質性は、示談交渉で高額の慰謝料を任意に支払うよう合意させられる可能性にもつながります。
例えば、投稿者のことを公開しないと約束する「口外禁止条項」を和解契約に盛り込むと譲歩する代わりに、慰謝料増額を引き出せるかが、誹謗中傷の示談交渉ではポイントです。
特に、投稿者の社会的地位が高いとき・結婚して子育てしているときなど、風俗に行った挙句に風俗嬢に誹謗中傷をしていたと周囲に知られれば社会的に大ダメージを受けるだろうケースでは、口外禁止条項を用いた駆け引きに投稿者が応じやすくなります。
(2) 調査費用
調査費用とは、発信者情報開示請求に掛かった弁護士費用です。
相手を特定して初めて損害賠償請求ができるようになること、発信者情報開示請求は弁護士への依頼がほぼ必須であることから、投稿により生じた損害として請求が認められています。
具体的事情によっては全額が認められることもありますが、あくまで投稿→開示→賠償請求という一連の流れに含まれるものに限ります。
投稿者の特定に失敗した開示請求の調査費用など、因果関係が認められないものは請求できないでしょう。
誹謗中傷では、発信者情報開示請求の失敗リスクを特に意識しなければいけません。
弁護士が開示成功の可能性を見極められるよう、法律相談では関連事情を幅広く説明してください。
4.まとめ
風俗情報サイトでは、風俗嬢の皆さんへの誹謗中傷が当たり前のように書き込まれてしまっている現状があります。
サービスへの感想や評価には収まらず、人格攻撃やデマ、さらには身バレまでするような投稿がされていれば、削除請求のみならず投稿者に損害賠償請求をして根本的な解決を目指しましょう。
風俗で働く中、インターネット上の誹謗中傷でお悩みの皆さんは、どうぞこの記事をご参考に、お早めに弁護士にご相談ください。