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書き込みの削除

風俗嬢への誹謗中傷書き込みを削除するときのポイント

風俗嬢への誹謗中傷書き込みを削除するときのポイント

ソープやヘルス、デリヘル、キャバクラなどのいわゆる風俗・水商売で働いている方々に対するインターネットでの名誉毀損やプライバシー侵害は後を絶ちません。
その対策として、まず書き込みの削除を目指しましょう。

ここでは、風俗嬢への誹謗中傷を削除するために重要となる条件や手続、その他のポイントを説明します。

1.投稿削除の手続き

(1) 削除方法の種類

インターネットに悪口や個人情報を書き込まれたとき、まずは実害のもととなっているその書き込みを削除することが第一の選択肢となります。

投稿を削除するには、投稿先サイト(爆サイ・ホスラブなど)の管理者に削除依頼する任意請求と、裁判所に強制的な削除を求める法的請求の二つの手段があります。
任意請求の中でもサイト内部の連絡用フォームを利用するケースと、「送信防止措置依頼書」と呼ばれる書式を送付するケースに分けられます。

サイトによって、削除請求に応じるか態度は違います。
風俗情報を扱うサイトは国内に運営者がいることが多く、海外法人が運営者とされる「PINKちゃんねる」などと比べれば削除しやすいでしょう。

もっとも、フォームやメールによる削除依頼に応じてくれないこともあり、弁護士を通じた送信防止措置依頼書による請求が必要となるときもあります

【検索結果の削除】
投稿自体を削除すると、かえって状況が悪化するケースもあり得ます。炎上・ストーカー行為・店舗や周囲への嫌がらせなどのおそれがあるときは、投稿者を刺激しないよう、検索結果だけを削除することも選択肢に入ります。
投稿自体を削除しなくても、検索結果から誹謗中傷にたどりつく可能性を排除できるからです。

(2) 任意請求

掲示板などには、削除依頼専用のスレッドやフォームが用意されていることが多いです。
そこに、指示された情報を記入して依頼しましょう。

削除されるまでは数週間、早ければ1日で対応してくれることもあります。

依頼を出しても削除されないときは送信防止措置依頼書を送付しての削除を検討します。
たとえば、爆サイでは「弁護士・法務関連の窓口」で送信防止措置の手続を案内しています。

【参考】弁護士・法務関連の窓口|爆サイ

上記サイトにも注意書きがありますが、任意請求であっても他人に手続を任せるときは必ず弁護士にご依頼ください(非弁行為に該当するため)。

(3) 法的請求

任意請求ならば手続は簡単で済みますが、削除されるかどうかはサイト管理者次第です。
一方、裁判所に法的請求をすれば削除を強制できます。

法的請求では、一般的には裁判を簡単にした「仮処分」を利用します。
国内サイトなら基本的には1か月程度で仮処分手続が終わり、その後1~2週間で削除されるでしょう。一方、TwitterやPINKちゃんねるなど海外法人では数か月かかってしまうおそれがあります。

裁判所が認めさえすれば削除を強制できる一方、法律が認める条件を満たしていなければ仮処分は決定されません。
特に、名誉権やプライバシー権などの権利が侵害されていると言えるかどうかが大きな問題となります。

2.削除請求の条件

単に悪口だというだけでは権利侵害が認められるとは限りません。
投稿を削除するには、その書き込みがあなたの権利を侵害していると言える必要があります。

裁判所へ仮処分を申し立てるケースもそうですし、サイト管理者への削除依頼でも多くの場合は権利侵害が根拠となるでしょう。

さらに、風俗や水商売で働く人たち特有の問題として、「源氏名」への誹謗中傷の扱いも問題となります。

(1) 源氏名と「同定可能性」

名誉権やプライバシー権など、個人の尊厳に基づく「人格権」がネット誹謗中傷で問題となる代表的な権利です。
人格権が侵害されたといえるには、「誹謗中傷の中で名指しされた人と現実のあなたが同一人物だ」と投稿を見た人たちがわかること、すなわち「同定可能性」が必要となります。

風俗やキャバクラなどで働いている方々は、お店では店内だけで通じる源氏名を使用しているでしょう。誹謗中傷も源氏名を名指ししてされるはずです。

あなた自身としてはともかく、社会一般の人が「源氏名への悪口=(本名の)あなたへの悪口」と気付くことはないため、同定可能性が認められるかは検討が必要となります。

結論としては、源氏名でも同定可能性が認められる余地は十分にあります
源氏名はネット上のみならず現実社会でも用いられている名前であり、社会的に一定程度定着しているといえるからです。

現実社会との関係性・定着度については、
・顔写真がサイトや店舗内にあるか
・源氏名を使用している期間
・同じ源氏名を使っている他の嬢との区別
などから判断できるでしょう。

(2) 名誉毀損・名誉感情侵害

よくある「誹謗中傷」は、たいていは名誉毀損か名誉感情侵害の二つに該当します。
「性病だ」など他人からの社会的な評価を低下させる具体的な事実を書き込んでいれば、名誉毀損になる可能性が生じます。

名誉毀損に基づく削除が認められなくなるハードルとして、公共性ある事実を指摘するのであれば投稿を合法化してしまう「違法性阻却事由」という規定があります。

もっとも、風俗関連での悪口では自分勝手な誹謗中傷が多いでしょうから、さほど問題とはなりません。
本当のことを指摘していたとしても公共性がないとして、違法性が認められる可能性は高いでしょう。

むしろ、「事実の適示」「社会的評価の低下」が認められないケースでは名誉毀損が成立しないことが悩ましい点です。
「ブス」「ヘタクソ」「キモい」といった罵詈雑言は、「事実」ではなく「評価」を指し示すものですし、投稿者の勝手な感想ですから評判が下がるとも限りません。
それでも、言われたほうとしては不快極まりないでしょう。

このような悪口は、名誉感情侵害に当たるかが問題となります。
名誉感情はあなたの個人的なプライド、自尊心を守るための人格的利益です。名誉感情侵害を理由としても削除請求は認められます。

もっとも、プライドを傷つけられたからというだけで削除合戦がされても困りますから、常識的に考えても許される限界を超えることが必要です。
この基準もあいまいで、実際、裁判所の判断を見ても、個別のキーワードだけではどれがアウトかわかりづらくなっています。

ただ、執拗で短期間に何度も繰り返し投稿した、苦情を受けたのに再投稿したなど、投稿経緯の悪質性も踏まえて名誉感情侵害になるかは判断されます。

(3) プライバシー権侵害

風俗関連のトラブルで、源氏名への悪口と並んでしばしば問題となるのがプライバシー侵害でしょう。
本名や住所、住居の写真、学生の方なら学校名、ダブルワークされている方なら他の職業などを公表されてしまうことがあります。

家族や友人、同僚に夜の仕事をしていると発覚したときの精神的苦痛、実生活への悪影響は計り知れません。退職につながれば収入減少にもつながります。
そのような書き込みを見つけたら、多くの人の目に触れないよう、すぐに削除することが何よりの対応となります。

プライバシーとは、簡単に言えば秘密にしたい個人情報です。
風俗嬢として働いていることはもちろん、本名や住所なども含まれますから、書き込まれた情報がプライバシーに該当することは問題ないでしょう。

ただ、プライバシー権侵害でも同定可能性が求められます。
本名や学校名などをフルネームではなくイニシャルや伏せ字などで書き込まれたとき、あなたに関する情報だと特定できるかは検討が必要です。

このケースでのポイントは、書き込まれた複数の属性、たとえば氏名や出身地、勤務先などから、投稿内容で言及されている人間はあなただけといえるかどうかとなります。

3.削除請求のリスク

誹謗中傷対策として、投稿の削除は第一の選択肢であることは間違いありません。

それでも、焦りすぎは禁物です。
謝罪要求や損害賠償請求、刑事告訴をするには、相手がどこの誰か特定する必要があります。相手の住所氏名を特定する手続では、サイト管理者が持つ投稿データが不可欠となりますが、投稿を削除してしまうとそのデータも消去されてしまう可能性があります。

「削除するだけで損害賠償は考えていない」という方にとっても、いくら削除しても再投稿が繰り返されたり、気持ちが代わって損害賠償請求もしたいと考えるようになったりするかもしれない可能性を考えれば、投稿者を追跡できなくなるおそれは無視できません。

そこで、削除と投稿者特定の手続を同時に行えば必要なデータを引き出したうえで投稿を削除できます。
特定のために必要な「発信者情報開示命令」は弁護士に依頼することがほぼ必須なほど専門的な手続です。

削除しか考えていないという方でも、弁護士に相談してみましょう。

風俗嬢に誹謗中傷してきた相手を特定するには [参考記事] 風俗嬢に誹謗中傷してきた相手を特定するには

4.まとめ

風俗情報はインターネットの匿名掲示板などでやり取りがされており、その中で誹謗中傷が続いています。
悲しいことですが、風俗嬢が同僚の悪口を書き込んだり、プライバシー情報を暴露したりすることもあるようです。

投稿の削除は管理人への依頼で手軽にできることもありますが、投稿者の特定への足掛かりを消してしまうことにもつながりますので注意しましょう。

弁護士は依頼者のためにプライバシーを守り、法律を使ってできる限りの対策を立てることができます。
インターネット上の誹謗中傷でお悩みの皆さんは、どうぞこの記事をご参考に、お早めに弁護士にご相談ください。

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