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風俗嬢に誹謗中傷してきた相手を特定するには

風俗嬢に誹謗中傷してきた相手を特定するには

客との肉体関係があることもあってか、風俗嬢に関してはインターネット上で感情的な誹謗中傷・深刻なプライバシー侵害の被害が多数生じています。
風俗情報を扱う匿名掲示板も多く、誹謗中傷による損害は大きく広がってしまいがちです。

風俗嬢が誹謗中傷されたら、投稿を削除するだけでなく、損害賠償請求や刑事告訴もする必要性が高いと言えます。
しかし、匿名の相手に対して裁判はできません。警察も殺害予告などでない限り自ら積極的な捜査に動くことは少ないようです。

そこで、いわゆるプロバイダ責任制限法に定められた発信者情報開示命令を利用して、相手の住所氏名を特定する必要があります。

このコラムでは、発信者情報開示命令を利用して風俗嬢に対して誹謗中傷をしてきた相手を特定する方法を説明します。

1.発信者情報開示命令とは?

インターネットの匿名性は、通信の自由のために保障されています。
しかし、誹謗中傷をするような人間ならば、匿名のままでいることを許すわけにはいきません。

法律は、「発信者」、つまり誹謗中傷に当たる書き込みを投稿した者の個人情報を、サイト運営者や通信会社など「プロバイダ」から引き出す権利を認めています。
これが発信者情報開示命令です。

発信者情報開示命令では、
①サイト運営者からIP アドレスなどの通信データを引き出す
②そのデータをもとに通信会社に投稿者の住所氏名を開示させる
という2段階の手続を伴います。風俗情報を扱うサイトのような匿名サイトであれば、サイト運営者は投稿者の個人情報を把握していないためです。

一見面倒に感じますが、プロバイダ責任制限法が改正されてから、ネット誹謗中傷犯人を特定しやすくなりました。

(1) IPアドレス開示命令

最初に、問題となる投稿がされているサイト(爆サイ・ホスラブなど)の運営者に、投稿のデータを開示するよう求めます。
そのデータの中でも代表的なものが、「IPアドレス」です。

IPアドレスは、スマホやパソコンなどの識別番号のようなものです。
インターネットに接続している機器一つ一つにその都度割り当てられているため、投稿時刻などと合わせれば誹謗中傷を投稿したスマホなどをたどっていけます。

発信者情報開示命令で開示手続を行う場合、まず、サイト管理者に対してIPアドレスやタイムスタンプなど、投稿に関する電子データを開示するよう命令してほしいと裁判所に申し立てます。

ポイントは提供命令です。提供命令が認められれば、IPアドレスが開示される前に通信会社の住所・名称が分かります。すぐに通信会社への住所開示命令を申し立てられるのです。なお、「PINKちゃんねる」は海外法人が運営しているようですので、時間がかかるおそれがあります。

(2) 住所氏名開示命令

サイト運営者が開示したIPアドレスから、投稿に利用された通信会社を調査します。
特定できた通信会社に対して、住所氏名を開示するよう請求します。

通信会社への請求は、過去は通常の裁判しか利用できませんでした。住所氏名は重要な個人情報であることなどもあり、慎重な手続が必要となるからです。
一般的な裁判よりは短い傾向にありますが、3か月から6か月はかかっていたのです。

しかし、改正プロ責法では、住所氏名の開示請求にも発信者情報開示命令を使えるようにしています。

これにより、開示請求、ひいては損害賠償までの期間を短縮できますし、10条7項により申立先の裁判所も、サイト管理者へのIPアドレス開示請求と同じです。

提供命令はここでも役に立ちます。提供命令を受けたサイト管理者は通信会社にIPアドレスなどを渡します。

【投稿削除によるデータ消去や通信記録の消去に注意】
投稿が削除されると、IPアドレスなどの通信データも同時に消去されてしまいます。個人情報特定の手掛かりとなるIPアドレスがわからなくなってしまえば、もはや開示請求の余地はなくなります。
また、風俗サイトからIPアドレスを引き出せたとしても、ドコモなど携帯会社は3ヵ月程度で通信記録を消去してしまうため、発信者情報開示命令は迅速に行う必要があります。
書き込まれてすぐに請求すれば十分間に合うでしょう。無視できないと思ったらすぐに開示手続のために動きましょう。

2.開示できる投稿

発信者情報開示請求が認められるためには、法律上・事実上いくつかの条件があります。
その条件の中でも、投稿があなたの権利を侵害しているかどうかが最も重要です。

悪口だからといって何でも開示請求できるわけではありません。
一方で、悪口の内容が本当のことだとしても権利侵害が認められることもあります。

法律相談の中で弁護士の話を理解するうえでも、以下のポイントを参考にしてください。

(1) 名誉権侵害

名誉とは社会的評価=他人からの評判ということです。
風俗関連では、「性病をうつされた」「本番行為をしている」などの投稿が問題になりやすいでしょう。

そもそも、風俗で働いているとの暴露も、プライバシー侵害のみならず名誉毀損が成立する可能性があります。

名誉毀損による開示請求が認められるためには、「違法性阻却事由」にも注意が必要です。
公共性ある話題・公益目的・内容が本当のこと、というすべての条件が満たされると開示請求ができなくなります。

一般的に公共性や公益目的は認められやすいため、投稿内容がウソであると証明できるかが名誉毀損に基づく法的請求のポイントです。

もっとも、風俗関連での悪口では自分勝手な誹謗中傷が多いでしょうから、公共性・公益目的が認められない可能性があります。

違法性阻却事由はすべてを満たさなければ成立しません。
そのため、本当のことを書き込まれていたとしても、開示請求が認められる見込みがあるのです。

(2) 名誉感情侵害

名誉毀損は世間的な評判を落とすような書き込みに認められます。
逆に言えば、感情的に不快にはなるものの他人からの評価を傷つけないケース、たとえば「ブス」「臭い」「キモい」では、名誉毀損は成立しません。

しかし、このような罵詈雑言も何度も繰り返し書き込まれれば不快極まりません。名誉感情侵害だとして発信者情報開示請求ができないか検討しましょう。

名誉感情はあなたの個人的なプライド、自尊心を守るための人格的利益です。
「社会通念上の受忍限度を超える」、つまり世間一般の感覚でも言い過ぎといえるときには、名誉感情が侵害されたとして法的請求ができるようになります。

(3) プライバシー権侵害

プライバシーとは、普通の人ならば秘密にしておきたい個人情報を指します。
風俗で働いていること自体、多くの人にとっては秘密にしておきたいでしょうから、プライバシーとして保護されます。

本名や住所、学生ならば学校名、ダブルワークしているならば他の勤務先などもプライバシーとなる可能性があります。

3.源氏名と同定可能性の問題

名誉毀損やプライバシー侵害の成立条件として、上記のほかに「同定可能性」があります。
社会的評価の低下やプライバシー公開による不安は、書き込みで名指しされている人物があなた自身であると閲覧者に分かる可能性があって、初めて認められるからです。

風俗で働いている方は店舗だけで使う「源氏名」を使って働いているでしょう。
その源氏名に対して誹謗中傷がされたとしても、同定可能性が認められるのか?発信者情報開示請求を成功させるためには、検討が必要なポイントです。

(1) 源氏名と名誉毀損・名誉感情侵害

源氏名に対して名誉毀損がされているときに同定可能性が認められるには、源氏名と現実のあなた自身との間に社会的なつながりがあることが必要です。

  • 顔写真がサイトや店舗内にある
  • 同じ源氏名を使用し続けている
  • 同じ源氏名を使用している風俗嬢との区別がつく

このような事情があれば、本名が書き込まれていないとしても発信者情報開示請求が認められる可能性が生じるでしょう。

なお、風俗で働き始めたばかりで顔写真の掲載もNGにしているといったケースでは、同定可能性が認められないリスクが生じます。
このケースでは名誉感情侵害に基づく開示請求を検討しましょう。

名誉感情は主観的なプライドですから、同定可能性がないケースでも、その侵害が認められる余地はあります。

(2) 源氏名とプライバシー侵害

「A店の源氏名OOOは、X県Y市出身でZ大学法学部2年生のイニシャルA.I.だ」といったような形で、源氏名を用いてプライバシーを公開されたときも同定可能性が問題になります。

たとえば出身地だけ書き込まれても、他の人はあなた自身を特定できません。
しかし、上記のように出身地、大学名、学年、本名のイニシャルなど書き込まれた複数の属性を併せ持つ人間は限られます。

このように、投稿内容から名指しされている人間はあなただけといえるかどうかを検討しましょう。

4.まとめ

風俗に関するインターネット上の誹謗中傷は悪質で、深刻な不安を招きます。実名や住所などプライバシー情報が書き込まれると、ストーカー被害やダブルワークの退職など、大きな被害につながるおそれがあります。
書き込みの削除をしても粘着質な投稿者とのいたちごっこに巻き込まれると不安は増すばかりです。

投稿者の特定には、確かに失敗のリスクが付きまといます。
それでも、書き込んだ相手が誰かわかれば、損害賠償や謝罪を要求し、刑事告訴も可能となります。

インターネット上の誹謗中傷でお悩みの皆さんは、どうぞこの記事をご参考に、お早めに弁護士にご相談ください。

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