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発信者情報開示請求が届いたら|無視できる?逃げられる?

インターネットの投稿に対して削除請求や発信者情報開示請求がされると、いわゆるプロバイダ責任制限法に定められた意見照会手続に基づいて、通信会社などのプロバイダからネットに書き込みをした投稿者に連絡がいきます。

特に、発信者情報開示請求の際の「発信者情報開示に係る意見照会書」は、投稿者の住所・氏名が開示されるかどうかの判断に影響を与えるため、決して無視することはできません。
できる限り具体的な事情を盛り込んだ回答を返しましょう。

回答には法律の知識が必要になりますから、損害賠償請求が始まっていない意見照会手続の段階でも、弁護士に依頼して充実した反論をすることを検討すべきです。

ここでは、発信者情報開示請求による意見照会書への回答(以下「意見照会回答書」)のポイントについて説明します。

1.発信者情報開示請求の意見照会手続とは?

インターネット上の投稿による権利侵害を主張する人・企業は、投稿の削除請求や、投稿者の住所氏名などをつきとめる「発信者情報開示請求」ができます。

投稿者側の立場からすれば、投稿を削除される、自分が投稿をしたこと・住所氏名などの個人情報がバレてしまう、損害賠償請求されるというリスクが生じることになります。

[参考記事] ネットで誹謗中傷した犯人(投稿者)を特定できる?

法的手続では、投稿者にも反論の機会が保障されます。
よって、投稿に関して削除・発信者情報開示を請求されたサイト管理者や通信会社などは、削除すべきか、住所氏名等の情報を開示すべきか、反論があればその理由を説明するよう、投稿者に連絡してきます。

これが「意見照会手続」です。

意見照会に対して期限内に回答を返さなければ、意見なしとみなされます。
削除請求であれば投稿が削除される・アカウントが停止される可能性が高くなります。

既に書き込みを削除していても、削除前に保存されているかもしれません。アカウントを残したままならばアカウントの登録情報を開示請求されるリスクがあります。

また、発信者情報開示請求で回答をしないままでは、投稿者の住所氏名が請求者に開示されてしまうリスクが上がってしまいます。

住所氏名をつきとめられれば、次は損害賠償請求があるでしょう。
30万円から70万円ほどの慰謝料と、発信者情報開示請求にかかった弁護士費用を請求されてしまう可能性があります。

よって、意見照会書が届いたら、無視をしたり逃げたりすることはせずに、しっかりと回答をするべきと言えます。

(1) 意見照会がされる時期

意見照会は、以下のタイミングに行われます。

  • サイト管理者などに対して、投稿の削除請求がされたとき
  • サイト管理者などに対して、IPアドレスの開示請求がされたとき
  • 通信会社などのプロバイダに対して、住所氏名の開示請求がされたとき

複数回行われるケースもあり得ますが、たいていはプロバイダに対する住所氏名の開示請求の段階で初めて意見照会されることになるでしょう。

実名登録型サイトでないかぎり、サイト管理者は投稿者の連絡先を知りませんから、意見照会手続ができないのです。

(2) 意見照会の回答期限

意見照会には回答期限があります。

  • 削除請求:7日間
  • 発信者情報開示請求:2週間

それぞれの期間について、削除請求はプロバイダ責任制限法で、発信者情報開示請求はプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が定める、プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドラインが定めています。

2.意見照会回答書に記載すること

ここからは、発信者情報開示請求の意見照会回答書について解説します。

まず、開示に同意するか拒否するかを明らかにしましょう。拒否するのであれば「開示拒否」に丸を付けます。

もっとも、それだけでは大きな効果は望めません。
意見照会回答書には、具体的な事情をもとに開示拒否する理由を記載することが必須です。

意見照会が行われる手続そのものは、発信者情報開示などの請求者とプロバイダ間の争いですが、プロバイダ側は投稿の背景事情が分かりません。

プロバイダが請求者側の主張に対して充実した反論ができるようにするためには、投稿が事実であること・その証拠・法的な主張を投稿者から伝える必要があります。

どのような法的主張を、どのような事実に基づいて述べるのか、できる限り事実関係を証明する証拠を添えて、意見照会書に記載しましょう。

以下では、より具体的に何を記載するべきかをご説明します。

(1) 権利を侵害していないこと

書き込みが請求者の権利を侵害していないのであれば、削除請求も発信者情報開示請求も認められません。
よって、原則として、権利侵害の不存在を主張していくことになるでしょう。

主な権利ごとのポイントは以下のとおりです。

名誉権

ネットの誹謗中傷では、名誉権侵害、つまり名誉棄損がもっとも問題となりやすいでしょう。

名誉棄損には「違法性阻却事由」というものがあり、そのすべてに当てはまる事情があれば名誉権侵害が認められなくなります。
違法性阻却事由はいくつかありますが、ほとんどの場合は「真実性」が決め手となります。

投稿内容から読み取れる事実はウソではなく真実である、といえる事情を意見照会回答書に記載し、真実性を示す証拠を添付しましょう。

名誉感情

名誉棄損は他人からの社会的評価を低下させるものであるのに対して、自分自身の主観的な評価である名誉感情、つまりプライドを傷つける侮辱の場合も、削除請求や発信者情報開示請求が認められます。

根拠となる具体的事実の有無やその真実性というよりも、投稿内容自体が社会的に許されない、著しくひどいものかどうかが権利侵害の基準となっています。

投稿がされた経緯や前後の文脈も含めて判断されます。投稿そのもの以外の諸事情を絡めて、権利侵害と言えるものではないと主張します。

プライバシー

プライバシーは他人に知られたくないような個人情報を指します。秘密にされている事実だけでなく、すでに公開されている情報や事実らしく受け取られることがらも含まれることがあります。

投稿内容がプライバシーに含まれないと主張するか、プライバシーと言えたとしても権利侵害とは言えないと主張します。
諸事情を考慮して、公表されない法的利益よりも公表する理由が優っているといえれば違法性は認められなくなるからです。

 

名誉権やプライバシー権などの人格権では、同姓同名の他人について書き込んでいる可能性、いわゆる同定可能性も争えるかもしれません。
ほかにも、肖像権、人格権以外の営業権や知的財産権、不正競争防止法違反などがネットの誹謗中傷では問題になります。

(2) 開示を受けるべき正当な理由がないこと

権利侵害の要件にかかわる事情以外にも、プロバイダ責任制限法が定める「開示を受けるべき正当な理由」が否定される、つまり、住所氏名の開示が不適切だといえる事情があれば記載しておきましょう。

東京地裁平成25年4月19日判決は、「開示を求めている発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をする意図があると認められる場合」には、開示を受けるべき正当な理由がなくなると判断しました。

開示請求者があなたの住所氏名をネットにさらし、不特定多数の人間が今度はあなたを誹謗中傷する、さらには住居や職場など実生活の場にも押しかけてくるリスクがあれば、開示請求は認められなくなる可能性があるのです。

【開示に同意するメリット】
実は、場合によっては開示に同意してしまったほうがいいこともあります。
任意請求の段階で開示に同意すれば、請求者は裁判で発信者情報開示手続を行う手間を省けますから、その分、投稿者に請求される調査費用を抑えることができるでしょう。
裁判になっていても、裁判所が判決で違法性を認定する前に示談に持ち込むことで、早期解決と社会的なダメージの抑制を狙えます。

3.無視せずに弁護士へ依頼する意義

上記のように、意見照会回答書は、法律の専門知識に基づいて事実関係を整理し、請求者の主張に対する効果的な反論を記載する必要があります。

投稿者自身はまだ裁判で訴えられていない段階であっても、住所氏名などが公開されてしまえば、そのうち損害賠償請求訴訟を提起されることでしょう。

最終的に損害賠償訴訟で勝訴したとしても、相手に住所氏名を知られてしまうこと自体が不快なことですし、裁判になれば弁護士費用も高額化してしまいます。

大まかな争点やポイントはネットで検索すれば見つかりますが、実際に回答書として文書化し、記載された事実の証拠も添付して一つの法的書類として組み立てるには、弁護士の助力が必要になるでしょう。

請求者側の弁護士が請求者から不利な事実関係を確認できていなければ、こちらが回答書で請求者に不利な事実関係を示すことで、開示請求以降の手続を阻止できる可能性もあります。
逆に、損害賠償請求まで認められてしまう可能性が高いようであれば、開示に同意して示談に持ち込むことも検討しなければなりません。

意見照会回答書は、住所氏名の開示請求の段階で、後の損害賠償請求まで左右する重要な法的文書です。
回答期限も短いため、無視をすることなくお早めに弁護士にご相談ください。

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