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誹謗中傷をした側

誹謗中傷・名誉毀損で訴えられてしまう言葉の具体例

誰もが被害者になるだけでなく、加害者にもなってしまう可能性があるのがインターネット上の誹謗中傷です。

権利侵害に該当する発言と認められるには厳密な条件が求められますので、多少の悪口がすぐに名誉毀損になってしまうとは限りませんが、投稿で名指しした相手が訴えれば、発信者情報開示請求で住所氏名を特定され、損害賠償請求されるリスクは身近に潜んでいます。

ここでは、よくトラブルを引き起こしてしまいがちな言葉や書き込みをピックアップし、名誉毀損・誹謗中傷となるリスク、対応方法を説明します。

1.「バカ」「ブス」「間抜け」「グズ」などの罵倒

これらは現実でつい口に出してしまうような悪口ですが、相手を不快にさせるだけで周囲からの評価を傷つけるほどではない罵倒は、名誉毀損にはなりにくいでしょう。

名誉毀損でいう「名誉」とは、「社会的評価」、つまり他人からの評判を意味します。
周囲からの悪い印象につながるような「社会的評価の低下」のおそれが、名誉毀損の成立には必要なのです。

もっとも、これらの悪口も度が過ぎれば名誉感情侵害となるおそれがあります。
具体性のない誹謗中傷でも、あまりにも内容がひどく、繰り返し執拗に行えば、社会通念上許される限度を超え、誰もが感情を害されるほど明らかで著しい侮辱行為となるからです。

[参考記事] 名誉毀損と名誉感情侵害の違い

2.「風俗で働いている」

「風俗・ソープで働いている」「デリヘルをしている」との投稿は、名誉毀損プライバシー権侵害になりえます。相手の社会的評価は、水商売に関わっていると指摘されることで低下するからです。
職業に貴賎なしと言いますが、やはり水商売に対する世間からの風当たりは冷たいものです。

風俗勤め等が虚偽か真実かは関係なく、名誉毀損とプライバシー権侵害になりえます。

(1) 名誉毀損(同定可能性の認定)

誰のことを指しているのか当事者以外に分からない投稿は、相手の社会的評価を低下させませんから、名誉毀損となりません。

社会的評価が低下するには、悪口を言われた人間が誰なのか、閲覧者が判別できる「同定可能性」が前提となります。
投稿内容自体は誰かの評判を傷つけるものでも、誰のことを指しているのか分からなければ、現実に社会的評価の低下は生じないからです。

実際には、同定可能性は認定されやすい条件です。
イニシャルや伏せ字でごまかしていても、投稿前後のレス・リプライなど他人の書き込みや、出身地や職歴、地位、学歴などから推測すれば、相手の周囲の人間は誰を指しているのか判別できるからです。

源氏名や配信者としての名前、ハンドルネームなど、現実の相手そのものとは別の名前を指して罵倒したケースでも、その名前が現実社会とつながっていれば同定可能性は認められます。

例えば風俗嬢は、源氏名として、風俗サイト・店舗内部にある顔写真や勤続経歴などで現実社会とつながっています。

ネット配信者、YouTuberでも同様です。
イラストや3Dモデルを利用したVtuberに対しても、同定可能性が認められる判決が相次いでいます。

ちなみに、名誉感情侵害は同定可能性がなくても認められる可能性があります。

[参考記事] 同定可能性とは?権利侵害の要件

(2) プライバシー権侵害

プライバシー権とは、私生活上の事実ひいては事実だと思われかねない情報について、公共的な利益もないのに無断で公開されない権利です。
嘘であっても本当のことと受け取られかねないケース、ごく少数人が知っていることをインターネットで不特定多数に公開したケースでも、プライバシー権侵害が認められる可能性があります。

風俗など「性」に関する情報はプライバシーの中でも重要なものです。
風俗嬢だとの暴露や、本名、住所、学校・勤務先の公開などの事例では、損害賠償金の金額が大きくなるリスクも高くなります。

[参考記事] プライバシー侵害とは|要件・裁判例・侵害を受けた場合の対処法

3.「A店のラーメンは不味い」「B嬢はヘタクソだ」

Googleマップのクチコミやレビュー、ランキングサイト、通販サイトなどの低評価コメント・クレームは、まず名誉毀損にはなりません。
ただし、感情的になりすぎたり、嘘を書き込んでいたりすると、名誉毀損となるおそれが生じます。

また、風俗のレビューサイトや爆サイ・ホスラブなど匿名掲示板で、サービスを受けた風俗嬢への罵倒や愚痴を書き込んでしまうと、通常のレビューとは違い民事上の名誉毀損になる可能性が高いです。

(1) レビューでも名誉毀損になるケース

クチコミやレビューのような感想・評価による「意見論評型」の名誉毀損は、意見論評の前提としている事実が真実であると証明されること(真実性)が必要です。
他にも要件はいくつかありますが、これが意見論評型の名誉毀損で最も重要な要件と言えるでしょう。

書き込んだレビュー内容が妥当かどうかはさておき、書き込むきっかけとなった体験は実際にあった真実でしょう。「不味い」「使えない」など感想を抱く根拠となったのは、投稿者の実際の体験です。

現実に経験した事実をもとにしているならば、レビューの前提事実の真実性は認められます。ですから、クチコミやレビューに関しては違法性阻却事由による救済を受けられる(=適法となり名誉毀損とならない)可能性が高いのです。

とはいえ、口コミはどんなものでも適法というわけではありません。以下のようなレビューが名誉毀損となるリスクは多々あります。

  • 下劣なだけの話題
  • 他人のプライバシーを侵害している
  • 攻撃的すぎる言葉遣い
  • 極端な人格攻撃
  • そもそも実際に体験していない
  • 嫌がらせ目的で虚偽・嘘の内容を書き込んだ

例えば、レビューの中で感情任せに「これだけ不味いのに高評価だなんて、不正操作しているんじゃないか」など根拠のない事実を書き込めば違法になってしまうでしょう。

また、風俗嬢のレビューは、実際にあったことをもとに書き込んでも違法とされるリスクがあります。
風俗嬢へのレビューでは女性の身体や人格に対する過激な中傷が目立ちます。「デブ」「雌」などの表現は、意見論評としての域を逸脱しているとして違法性阻却事由が適用されないおそれがあります。公共性や公益目的など他の条件が認められない可能性もあるでしょう。

【「噂」として書き込むことも危険】
よくある言い訳に「噂を書き込んだだけ」がありますが、これは基本的に通用しないと考えてください。噂による誹謗中傷は「噂の内容を事実として書き込んだ」として扱われます。問題となるのも、「噂が本当にあったか」ではなく「噂の内容が本当か」です。
噂や推測、疑問の内容が本当にあったのだと証明できなければ、発信者情報開示請求や損害賠償請求が認められてしまうでしょう。

[参考記事] 「感想・議論で傷つけられた!」意見論評型の名誉毀損

(2) 「詐欺だ!」というクレーム

レビューなどで「詐欺」と書き込んだとき、文脈次第では「法律上の詐欺に当たる『行為』をした」という事実適示になる余地もありますが、一般的には「思っていたものと違った」などクレームとしての意味合いが強いでしょう。
よって、上記と同じく「意見論評型」の名誉毀損として判断され、真実性が争点となります。

4.「A社はブラック企業だ」

最近問題となっている言葉が「ブラック企業」です。

東京地方裁判所の平成24年12月18日判決は、
「ブラック企業という場合には、その程度の差はあるものの、労働諸法規等の各種法令に反し、あるいは、反する可能性がある程度まで労働環境等が劣悪であることを示す」
として社会的評価を低下させる言葉だと認めています。

東京地方裁判所の平成26年5月20日の判決では、投稿について、「全体として、原告がいわゆるブラック企業であって、その労働条件が劣悪であるとの事実を摘示するもの」と判断しました。
すなわち、当該の書き込みは、「労働法に違法している」との意見論評ではなく、「労働法違反が横行する」事実の適示とされたのです

ブラック企業だと投稿をした方は、実際に相手の企業で長時間残業やパワハラなどの被害を受けていることが多いでしょう。
そこで、具体的な違法行為を証明できるよう、タイムカードや録音データなどを準備しておくことが大事です。こうすることで、投稿内容が真実であったと示すことができます。

5.「不倫してるって噂だ」「過去に万引きで逮捕されたらしい」

「~と言っても過言ではない」「~に似ている」「~と聞いた」というような言い回しで断定口調を避けても、事実を適示した名誉毀損とされるおそれがあります(最高裁平成10年1月30日判決)。

不倫など性的プライバシーに関する書き込みはプライバシー侵害になり、無断で公開されたその内容が社会的評価の低下につながるのであれば名誉毀損も同時に成立します。

プライバシー侵害は本当のことであればあるほど被害は大きくなりますが、嘘の内容でも成立します。

例えば、職場の同僚と上司の不倫を投稿したケースでは、名誉毀損とプライバシー権侵害を二つまとめて訴えられ、多額の賠償金を支払うことになるリスクがあるのです。

一方、プライバシー情報を公開しても、犯罪報道のように公共性が優れば侵害とはなりません。

犯罪事実、逮捕報道や前科前歴は、性関連と並んで重要なプライバシー情報ではあります。しかし、実際に逮捕・起訴されているのであれば、公共性が高いために公開してもプライバシー権侵害とはならないでしょう。

ただし、実際には犯罪を犯しておらず、冤罪や偽情報だったとすれば名誉毀損の問題となります。

6.まとめ

インターネットでは、その場の勢いで、対面だったら言わないような暴言を書き込んでしまうこともあります。
書き込んだことを忘れた頃に発信者情報開示請求をされ、戸惑っているうちに損害賠償請求をされてしまうケースは決して他人事ではありません。

インターネットトラブルで法的措置が認められるか見通しをつけるには、高度な法的知識と判断能力が求められます。
発信者情報開示請求や損害賠償請求をされてしまったとき、対抗するには早めに弁護士に相談しましょう。

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