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二次創作はどこまで許される?著作権侵害に関する注意点

アニメ・漫画・ゲームのキャラクターなどを題材に、独自のストーリーを考案したうえで作品化して発表する「二次創作」が、サブカルチャーの世界を中心に流行しています。

二次創作は一つの文化としての様相を呈していますが、著作者や著作権者に無断で二次創作をする行為は、本来であれば著作権法違反に当たる可能性があるので注意が必要です。

今回は二次創作について、著作権法との関係で注意すべきポイントを解説します。

1.「二次創作」とは?

「二次創作」とは、既存の著作物を改変(翻案)する形で、新たな著作物を創作する表現行為です。

<二次創作の例>
・アニメのキャラクターを登場人物として、原作とは全く異なるストーリーによって漫画を制作した。
・ゲームで使われている音楽にアレンジを加えて、原作の雰囲気を残しつつ新しい曲を制作した。
・絵本として出版された原作を、映像化して動画サイト上で発表した。

アニメ・ゲーム・漫画など、いわゆる「サブカルチャー」のコンテンツには、熱心な愛好家が多数存在します。

コンテンツに対する愛情が、自分でもコンテンツの世界観をベースとした創作をしたいという欲求が生みだし、さまざまな形で二次創作が行われています。

2.二次創作に関する著作権法上の規制

二次創作は、それ自体が独創性や高い創作性を持つケースもあります。
その一方で、原作者の意図に反して行われるケースや、原作のコンテンツ力に「ただ乗り」して利益を得るケースもあり、無制限に認めることには問題があると言わざるを得ません。

著作権法では、二次創作に関して一定の規制を設け、原作(原著作物)の著作者および著作権者の権利保護を図っています。

(1) 同一性保持権|著作者の意に反する改変は不可

原著作物の著作者には、原著作物およびその題号(タイトル)の同一性を保持する権利が認められています(著作権法201項)。これを「同一性保持権」と言います。

著作者の意に反して、原著作物を改変して二次創作を行うことは、著作者の同一性保持権に対する侵害行為に該当し、著作権法上禁止されています。

例えば、原作コンテンツのイメージを著しく壊すような二次創作は、著作者の意に反するものとして、同一性保持権侵害に当たる可能性が高いでしょう。

なお、同一性保持権は「著作者人格権」の一つで、著作者の一身に専属し、第三者に対する譲渡は認められません(著作権法59条)。

(2) 翻案権|二次創作を行う権利は著作権者が専有

原著作物の著作者には、原著作物について翻訳・編曲・変形・脚色・映画化等の翻案をする権利が専有的に認められています(著作権法27条)。これを「翻案権」と言います。

著作権者の許可を得ずに、原著作物に依拠したうえで、原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できる別の著作物(二次創作物)を作成した場合には翻案権侵害が成立します。

翻案権は財産権である「著作権」の一つで、第三者に対する譲渡が認められています(著作権法611項)。したがって、著作者と著作権者が異なる場合もあり得ます。

なお、非営利であっても、著作権者に無断で二次創作をすることは、原則として翻案権侵害に当たり違法です。
ただし後述するように、純粋な私的利用などとして一定の要件を満たす場合には、例外的に著作権者の許可を得ていない二次創作が認められることもあります。

(3) 公衆送信権|二次創作物の無断アップロードは違法

原著作物の著作権者には、インターネットなどを通じて原著作物を配信する権利が専有的に認められています(著作権法231項)。これを「公衆送信権」と言います。
公衆送信権は、翻案権と同様に「著作権」の一つです。

さらに原著作物の著作権者には、二次創作物に関する公衆送信権も専有的に認められています(著作権法28条)。

つまり、インターネットを通じて二次創作物を配信するかどうかについては、二次創作そのものについて著作権者の許可があったかどうかにかかわらず、別途著作権者が許可するかどうかを決められるのです。

したがって、二次創作物を原著作物の著作権者に無断でインターネット上にアップロードする行為は、仮に二次創作そのものについて著作権者の許可を受けていたとしても、公衆送信権侵害として著作権法違反に該当することに注意が必要です。

3.二次創作で著作権者の許可を得る必要がない場合

前述のとおり、二次創作(翻案)を行うに当たっては、原則として著作権者の許可を得る必要があります。

ただし二次創作の目的に鑑みて、以下のいずれかに該当する場合には、例外的に著作権者の許可を得ることなく二次創作を行うことができます。

(1) 私的使用目的で二次創作を行う場合

個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で二次創作を行う場合、著作権者の許可は不要です(著作権法301項、47条の61項第1号)。

なお、私的使用目的はあくまでも個人・家族内での利用に限って認められます。これに対して、友人同士や会社内でシェアする場合などは私的使用目的とは認められず、二次創作を行うに当たって著作権者の許可を得る必要がある点に注意しましょう。

(2) 福祉事業者が視覚障害者のために二次創作を行う場合

視覚障害者のために福祉事業を行う一定の事業者が、視覚障害者が原著作物を利用できるようにするため二次創作を行う場合には、著作権者の許可は不要とされています(著作権法373項、47条の61項第4号)。

視覚障害者のための二次創作として認められるものの例としては、文字で記載された著作物(書籍・映画の字幕など)の音声化・点字化などが挙げられます。

(3) 福祉事業者が聴覚障害者のために二次創作を行う場合

聴覚障害者のために福祉事業を行う一定の事業者が、聴覚障害者が原著作物を利用できるようにするため二次創作を行う場合には、著作権者の許可は不要です(著作権法37条の21項、47条の61項第5号)。

聴覚障害者のための二次創作として認められるものの例としては、音声著作物のテキスト化などが挙げられます。

4.無断で二次創作をした場合の法的責任

著作者・著作権者に無断で二次創作をした場合、刑事・民事上の法的責任をそれぞれ負う可能性があります。

(1) 刑事責任|著作権侵害・著作者人格権侵害

著作権侵害(翻案権・公衆送信権)、著作者人格権侵害(同一性保持権)はそれぞれ、著作権法上の犯罪とされており、犯人は刑事罰を受ける可能性があります。

著作権侵害の法定刑は「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」、またはこれらが併科されます(著作権法1191項)。
著作者人格権侵害の法定刑は「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」、またはこれらが併科されます(同条2項)。

また、法人にも両罰規定が設けられている点に注意が必要です(同法1241項)。

具体的には、法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が著作権侵害を犯した場合には「3億円以下の罰金」、著作者人格権侵害を犯した場合には「500万円以下の罰金」が、それぞれ法人に対して科されます。

なお、二次創作による著作権侵害および著作者人格権侵害の罪は、著作者の死後の人格的利益の侵害行為(同法120条、60条)のような例外を除き、いずれも親告罪とされており、刑事訴追には被害者(著作権者・著作者)による告訴が必要です(同法1231項)。

(2) 民事責任|差止請求・損害賠償請求

著作権侵害または著作者人格権侵害に当たる二次創作については、著作権者・著作者はそれぞれ、侵害の停止または予防を請求できます(著作権法1121項)。具体的には、二次創作の公表停止や発行差止めなどを請求することが可能です。

また、違法な二次創作によって損害を被った場合、著作権者・著作者は侵害者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができます(民法709条)。損害賠償請求に当たっては、著作権法114条で損害額の推定規定が設けられており、著作権者・著作者側の立証責任が緩和されています。

5.実際に著作権法違反の責任を問われる可能性は?

二次創作が著作権法違反に当たるとして、実際に作者が著作権法違反の責任を問われる可能性はどの程度あるのでしょうか。

この点、現実的には著作権法違反の責任を問われる可能性は低いと考えられますが、高を括って違法行為を続けるのは危険です。

(1) 著作権者・著作者の方針次第

著作権法違反の責任を問われるかどうかは、著作権者・著作者の方針次第です。
著作権侵害および著作者人格権侵害に係る罪は原則として親告罪ですし、差止請求や損害賠償請求を行うかどうかも、著作権者・著作者が自由に判断できるからです。

したがって、著作権者・著作者が二次創作を奨励または黙認している場合は、著作権法違反の責任を問われる可能性は低いでしょう。

反対に、著作権者・著作者が二次創作に対して厳しい態度を取っている場合は、著作権法違反の責任を問われる可能性が高くなります。

【実際には二次創作が放置されているケースが多い】
原作コンテンツのファンが多ければ多いほど、著作権者・著作者の許可を得ない違法な二次創作がより多く生み出されます。
あまりにも数が多い違法な二次創作について、原作コンテンツの著作権者・著作者が逐一法的措置を講じることは困難です。また、二次創作により原作コンテンツのファンが増えることも予想されます。そのため、実際にはインターネット上などに氾濫する違法な二次創作が黙認または放置されているケースが多くなっています。
そうは言っても、客観的に違法な二次創作に当たる以上、著作権法違反の責任を問われる可能性がないわけではありません。二次創作に取り組む際には、原作コンテンツへのリスペクトと併せて、著作権法違反の責任を負うことのリスクを十分踏まえて法令を遵守すべきでしょう。

(2) 二次創作で多大な利益を得ている場合

二次創作を著作権者に無断で商業化し、多大な利益を得ている場合には、原作コンテンツの著作権者から目を付けられる可能性が高まります。

収益・イメージ等の観点から原作コンテンツに与える影響力が大きく、著作権者としても無視できない存在になってくるからです。

そのため、二次創作を商業化したいと考えている場合には、著作権法違反のリスクを考慮して、あらかじめ原作コンテンツの著作権者から許可を得ておくべきでしょう。

6.まとめ

サブカルチャーの世界で流行っている二次創作ですが、著作権者・著作者に無断で行っている場合、著作権法違反の責任を問われる可能性があります。

特に、商業化などによって大々的に二次創作を展開している場合、著作権法違反の責任を問われる可能性が高まりますので、あらかじめ適切な形で権利処理を行っておきましょう。

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