google検索のサジェストは削除できる?
ネット上の誹謗中傷に悩んでいる方は、誹謗中傷が行われた元の記事や投稿だけでなく、Googleの検索結果に悩まされることも多いです。
今回は、Google検索の検索結果から悪評を削除する方法についてご説明します。
なお、Googleマップにおいてお店に関する悪い口コミを投稿されて経営に支障が出ているという経営者の方は、以下のコラムをご覧ください。
[参考記事] googleマップの口コミ削除|嫌がらせ・名誉毀損・営業妨害対策1.Google検索結果の削除範囲
(1) Google検索の表示について
Google検索で、誹謗中傷やお店・会社の悪評が表示されるという場合は、以下のどこに表示されているのかによって対処法も変わります
- サイトの表題(タイトル)
- スニペット
- サジェスト(関連キーワード)
タイトルはそのページの表題のことを指します。
スニペットは、検索されたキーワードが書かれている部分をサイト本文の内容から抜粋したものです。これを見ると、自分が知りたい内容が書かれているかどうかを素早く確認できることから、情報検索の際には非常に便利な機能です。
もっとも、お店や人の名前に関連して誹謗中傷記事などが多く閲覧されている場合には、これらも一緒に表示されることがあります。
サジェストとは、Google検索の際に使用される予測変換機能のことを指します。検索窓に入れたキーワードのおすすめ(関連した情報)を表示してくれています。
(※Googleはこの機能のことをオートコンプリートと呼んでいますが、一般的にはサジェストとして浸透しています。)
Googleはこれまで検索されたワードをデータとして蓄積していることから、サジェストにはよく検索されるキーワード、関連性の高いキーワードを表示するように設定されています。
(2) Google検索結果の削除は可能?
さて、「サジェストやスニペット、サイトタイトルは削除できるの?」「削除の範囲はどこまで?」という疑問がある方も多いと思います。
まず Googleなどの検索エンジンによる検索結果で、違法な投稿を含むサイトが表示されているときは、サイトのタイトルやURLを削除請求することは可能です。
これらに直接的に誹謗中傷内容が含まれている場合はもちろん、記事内容に誹謗中傷がある場合も同様です。
また、スニペットに誹謗中傷内容が表示される場合も削除請求可能です。
スニペットに中傷が含まれていない場合でも、検索結果のリンク先サイトに削除されるべき誹謗中傷があれば、裁判所は検索結果の削除を認めています。
サジェストの削除請求については、単語の羅列に過ぎないとして裁判所は認めない傾向が強いです。
もっとも、削除が不可能というわけではなく、削除依頼フォーム等からの任意請求を行うことは可能ですので、まずは任意請求を検討しましょう。
2.検索結果の削除請求方法
(1) 検索結果を自分で削除したい場合|Googleへの削除依頼
Googleに検索結果・サジェストの削除を依頼するのは、「法的な削除リクエスト」から可能です。下記のリンクの他、Googleで「法的な削除リクエスト」と検索をかければ、削除依頼のためのページに辿り着きます。その後は、以下の手順に従ってください。
【検索結果の削除依頼】
- 「法的な削除リクエスト」のページにいき、「リクエストを作成」をクリック
- Google検索を選択
- Google検索・画像検索のどちらか問題となっている方をクリック
- 「調べたい内容」の中から当てはまるものをクリック
- 「以下の中から選択」より「個人情報」「名誉毀損」など当てはまるものをクリック
- 「リクエストを作成」を送信する
4の「調べたい内容」にはいくつかの内容が記載されていますが、誹謗中傷が関連するのは以下の通りです。
- 問題のあるコンテンツはウェブマスターによって削除されたが、検索結果にはまだ表示されている
- Google のサービス ポリシーに基づく個人情報(個人を特定できる情報、晒された情報、同意のない露骨な画像など)の削除
- 個人情報: Google の検索結果から自分の個人情報を削除するようリクエストする
- 知的財産権に関する問題:著作権侵害、技術的保護手段の回避などを報告する。
- その他の法的な問題:まだ記載されていない法的な理由でコンテンツを報告する
また、5の「以下の中からリクエスト」から「個人情報」を選ぶと以下が表示されます。
- Google のサービス ポリシーに基づく個人情報(個人を特定できる情報、晒された情報、同意のない露骨な画像など)の削除
- 忘れられる権利:欧州のデータ保護法に基づく情報の除外リクエスト
- 名誉毀損:コンテンツが自分または自分の会社や組織の名誉を毀損している
(2) サジェストの削除依頼方法
サジェストは、検索窓にキーワードを入れてそこから削除依頼をすることが可能です。
キーワードを検索窓に入れると、サジェストの一番右下に「不適切な検索候補の報告」が表示されます。
ここをクリックして、不適切なキーワードと不適切である理由を選択します。
誹謗中傷に当たる場合の多くは「デリケートまたは中傷的」「露骨な性的表現、下品な表現、冒とく的な内容」「差別的」などに当たります。
(3) 自分で依頼したが削除されない場合
Googleにご自身で削除を依頼したものの「断られてしまった」「応答がない」という場合には、弁護士に相談してください。
弁護士が対応する場合も、多くは任意の交渉から進めていきます。
ご自身で依頼された場合に、必要な情報が不足していることも多く、根拠が曖昧であることから削除依頼が却下されることもあります。Google社も表現の自由を保護する必要があることから、誹謗中傷に当たることが明確に確認できない場合は対応しないケースがあるのです。
弁護士は、当該誹謗中傷がプライバシー侵害や名誉毀損に当たることを法的に説明した上で任意の削除依頼をしますので、これにより削除されることもあります。
任意の交渉で難しい場合は、検索結果削除の仮処分の申立て、検索結果削除請求訴訟を通して削除請求を進めていくことができます。
なお、誹謗中傷に関連する検索結果は元記事・投稿を削除しないと意味がないケースも多いです。
したがって、問題となる記事・投稿の削除を行っていない場合は、弁護士のサポートにより記事削除の仮処分・訴訟を起こしていくことが重要です。
3.元記事の投稿者特定方法
検索結果に表示される内容や、元記事・投稿により、個人に対し嫌がらせの被害が出ている場合、またお店の営業利益に損害が出ている場合は、問題の投稿を行った人を特定して損害賠償を請求することが可能です。
投稿者を特定するためには、サイト管理者等に発信者情報の開示請求をする必要があります。
しかし、任意で開示してくれないことが多いため、裁判手続により発信者情報開示請求と仮処分を行います。これにより投稿者のIPアドレス等が開示されたら、次はこの情報を使用してプロバイダに投稿者の個人情報を開示するように請求します。
プロバイダへの開示請求も任意では応じてくれないケースが多いため、多くは訴訟手続にて請求を進めていきます。訴訟にて投稿者の氏名、住所などの個人情報が開示されたら、直接投稿者に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行います。
必要な場合は警察に通報するなどの措置も検討できるでしょう。
[参考記事] ネットで誹謗中傷した犯人(投稿者)を特定できる?4.Google以外の検索結果について
日本では、Google以外にもYahoo!などの検索サイトが人気です。
「Googleで表示されなくなったとしてもYahoo!に表示されるのでは?どう対応すべき?」という疑問は生まれるでしょう。
Yahoo!検索は、実はGoogleの検索技術を利用しています。そのため、Googleに削除依頼をして成功すれば、これはYahoo!の検索結果にも反映されます。
そのため、Googleの検索結果が削除されれば、Yahoo!検索の表示も削除されます。
もっとも、「Googleで削除されたのにYahoo!でまだ残っている」というケースもあります。この場合はYahoo!の「Yahoo!検索ヘルプ」の「お問い合わせ」から問い合わせることが可能ですので、検索してみましょう。
また、マイクロソフトBingはGoogleとは連動していません。これに対しては別途削除請求が必要です。
5.迅速な対応をするなら弁護士へ相談を
ネットにおける口コミや誹謗中傷は瞬く間に広がっていきます。ご自身でどう対応しようか迷っている間に問題が大きくなってしまうことも少なくありません。
ネット上の誹謗中傷、検索結果でお悩みの方は、ネット誹謗中傷に強い弁護士にご相談ください。