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損害賠償の請求

ネット誹謗中傷への損害賠償請求(総論)

何の根拠もない悪口や実名・住所を不当に書き込まれ、名誉やプライバシーを侵害されたとき、投稿者を特定することで慰謝料などの損害賠償請求ができます

削除しても繰り返し書き込まれるときや、悪質な行為で削除だけでは気が済まないときには、損害賠償請求は有力な選択肢となります。
生じた不安をやわらげ、相手が誹謗中傷を繰り返さないようにする効果があるでしょう。

とはいえ、ネット上で誹謗中傷してくる相手は匿名のことが多く、まず相手の住所氏名を発信者情報開示請求で特定しなければいけません。

ところが、発信者情報開示請求をしても投稿者を特定できないことは珍しくありません。
さらに、相手を特定できても裁判所が損害賠償請求を認めるかはまた別の話です。

ここでは、ネット上の誹謗中傷による損害を賠償請求する際のポイント・注意点について説明します。

1.損害賠償するための条件

誹謗中傷をした人間に対して損害賠償を請求できる根拠は、民法709条に定められた「不法行為」です。

民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

故意は「わざと」ということ、過失は「不注意で」という意味です。

肖像権や名誉感情など、人格権そのものとまではいえないものの、人格権から導き出される法的利益が侵害されたときにも不法行為に基づく損害賠償請求ができます。

賠償を求められる損害は、権利侵害により引き起こされたものに限られることには注意が必要です。

[参考記事] ネット誹謗中傷の犯人に損害賠償請求するための条件

2.請求の流れ

まずは、損害賠償請求の相手方となる投稿者を特定します。
実名で誹謗中傷してきたケースはともかく、相手が匿名のときは発信者情報開示請求で個人情報を探ることが必要となります。

投稿者特定後は、交渉や裁判で損害賠償金を求めます。

(1) 投稿者の特定

インターネットでは、相手が自分の名前や地位を明らかにして誹謗中傷をしていることはあまりなく、たいていは匿名、もしくはハンドルネームを使って攻撃しています。

そこで、誰が問題となる投稿をしたのか、サイト管理者や通信会社に対し開示するよう請求します。
この加害者の個人情報特定が、損害賠償請求の大前提となります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事] ネットで誹謗中傷した犯人(投稿者)を特定できる?

開示の失敗リスクを減らすためには、自分だけで対処しようとせず、専門家にできる限り早く相談することが重要です。
発信者情報開示請求での弁護士費用も賠償請求できる損害に含まれます。

[参考記事] ネット誹謗中傷で損害賠償請求できる「調査費用」とは?
【開示請求権が認められないケース】
発信者情報開示請求権を定めるプロバイダ責任制限法は、その条件として、主に以下を求めています。
・投稿による権利侵害が明らかなこと
・開示を求める正当な理由があること

実務上、重要となる条件は「投稿による権利侵害」です。気分を害する投稿だというだけで法的な権利・利益を害すると認めてしまうとインターネットへの書き込みが自由にできなくなってしまいますので、権利を侵害する誹謗中傷だというために、名誉権やプライバシー権など個別の権利ごとに法律や裁判例が作り出した条件を満たしていると認められる必要があるのです。

なお、通信会社から投稿に用いられた通信回線の契約者の住所氏名を聞き出せたとしても、その契約者が投稿者だとは限りません。
ネット喫茶・ホテルやマンション・大学や図書館などでは、通信契約は施設運営者になっていますので、投稿者個人は特定できないおそれがあります。

(2) 損害賠償請求

投稿者に対して損害賠償金を支払うよう求めます。

まずは、内容証明郵便などで任意の支払いを求めることが考えられます。相手が同意すれば、裁判になる前の段階でも解決できます。
社会的地位のある投稿者が事件を秘密にすることを望んでいるときなど、相手に裁判沙汰を避けたい意図があれば、この可能性も高まるでしょう。

もっとも、誹謗中傷をするような相手がそう簡単に要求に応じるとは言えません。交渉が難しそうならば、最初から裁判に訴えることも検討します。

しかし、損害賠償請求の裁判を起こしても、裁判所が賠償金の支払いを認めない可能性もあります。
民法709条が定める損害賠償請求の条件には、以下のものがあります。

  • 故意または過失
  • 違法な権利利益の侵害
  • 損害の発生
  • 侵害行為と損害の間の因果関係

これらを満たし裁判所で勝訴すれば、相手の銀行口座や給料を差し押さえられるようになります。
なお、和解交渉は裁判が始まってからも行うことができます。

[参考記事] インターネット上の誹謗中傷に対する損害賠償請求の流れ

3.請求できる損害賠償金の内容

個人ならば精神的損害である慰謝料、企業ならば信用や従業員の士気回復などにかかった無形損害を賠償請求できます。
一方、誹謗中傷後に生じた売り上げの減少など、事業への悪影響は賠償金に反映されにくいのが現状です。

[参考記事] ネット誹謗中傷で投稿者に請求できる損害賠償金の種類

(1) 慰謝料・無形損害

インターネットトラブルで賠償請求できる損害は、主に「慰謝料」です。
慰謝料とは、心を傷つけられたこと、つまり精神的損害への賠償金です。

慰謝料はその性質上、個人にのみ認められ、企業には認められません。

とはいえ、企業も誹謗中傷を受ければ金銭的には明らかにならない損害が生じます。
最高裁昭和39年1月28日判決は、そのような損害も「無形損害」として賠償の対象となるとしました。

ネット上の誹謗中傷では、これら慰謝料や企業の無形損害が賠償請求の主な内容となります。

(2) 逸失利益

賠償請求できる損害は、誹謗中傷が原因で発生したもの、つまり因果関係が認められるものに限られます。
時系列では誹謗中傷発生の後に生じた損害であっても、それが投稿により引き起こされたものであると裁判所が認めなければ、賠償対象とはなりません。

慰謝料や無形損害について因果関係が否定される心配はないでしょう。
問題は「逸失利益」です。

逸失利益とは、誹謗中傷によって本来得られるはずだったが失われてしまった金銭のことです。
口コミサイトに根も葉もない悪口を書き込まれ、売り上げが落ちたために減ってしまった利益をイメージしてください。

事業を行っている方からすると賠償請求したい損害ですが、誹謗中傷トラブルでは、裁判所が逸失利益の請求を認めることはまずありません。
誹謗中傷が原因で利益が減少したという証明が難しく、裁判所が因果関係を認めないためです。

(3) 調査費用

ここでいう調査費用とは、発信者情報開示請求にかかった費用(主に弁護士費用)のことです。
弁護士費用も相手の行為が原因の出費ですから、賠償できる損害に含まれます。

厳密には、調査費用は損害賠償請求手続とは別の手続である、発信者情報開示請求手続にかかった費用です。
もっとも、相手を特定しないことには損害賠償請求ができませんから、調査費用も誹謗中傷と因果関係が認められる損害となりえるのです。

ただし、調査費用の賠償請求も「社会通念上相当な範囲内」で認められるものですから、全額を請求できるとは限りません。特定できなかった投稿の開示請求費用は損害に含まれません

多くの誹謗中傷を受けていてもやみくもにその全てに請求するのではなく、冷静に、発信者情報開示請求や損害賠償請求ができる可能性が高いものを選び出すことが大切です。

また、発信者情報開示請求だけでも複数の手続が必要となることが多く、段階ごとに弁護士費用が細かく設定されていることもあります。
どの投稿へのどんな手続についていくら弁護士に支払ったのか明らかにできるよう、契約書・領収書に費用の詳細を残しておきましょう。

[参考記事] ネット誹謗中傷で損害賠償請求できる「調査費用」とは?

4.損害賠償金額の相場

(1) 示談での相場

示談交渉での慰謝料の相場は、ケースバイケースと言わざるを得ません。支払いに応じるかと同じく、金額も投稿者の意思次第だからです。

それでも、以下のような事情があると慰謝料が高くなりやすいといえるでしょう。

  • 投稿者が社会的地位の高い人間である
  • 他人に知られたくないほど投稿の内容・話題が下品
  • 投稿数や頻度が著しく人格を疑われる

また、誹謗中傷をした側として裁判沙汰にしたくない・秘密にしたいケースでは、口外禁止を約束することと引き換えに慰謝料額を積み増せます。

(2) 裁判での相場

それまでの事件との平等を図り手続の安定をはかるため、裁判所が認める慰謝料額には大まかな相場があります。

2022年現在では、個人への誹謗中傷では10万~70万円ほどが相場で、調査費用を含めても100万円を超えることは稀となっています。
(例外的に、投稿内容や頻度など誹謗中傷の悪質さ次第では100万円以上の慰謝料が認められることもあります。)

企業が被害者の場合は最高100万円ほどです。

[参考記事] ネット誹謗中傷における慰謝料・損害賠償金の相場

裁判所が数百万円の支払いを認めることは例外的なため、全体的な支出よりも低額になってしまうおそれがあります。

(3) 赤字になってしまうリスク

損害賠償請求訴訟に勝訴しても、投稿者から支払われた賠償金よりも発信者情報開示請求などの費用が上回り、赤字となってしまうリスクはあります。

もちろん、請求者側として赤字となったとしても、加害者に賠償金の負担を負わせられることに変わりはありません。再発防止の効果は期待できます。
「持ち出しになったとしても納得できるかどうか」も含めて、損害賠償請求をご検討ください。

5.まとめ

残念ながら、発信者情報開示請求や損害賠償請求には多くの無視できないリスクがあり、場合によっては賠償請求したくてもできず諦めざるを得ないケースがあることは否定できない実情です。

とはいえ、投稿者を特定して損害賠償金を手に入れられれば不安は和らぐでしょう。相手に金銭的な負担をかけ、再発防止の抑止力にもなります。

途中で行き詰っても、特定されようとしていることを知った投稿者が示談に応じてくることがありますし、弁護士と相談する中で投稿削除や刑事告訴といった損害賠償請求以外の対処策も検討できます。

匿名の書き込みを相手とするときは、専門性の高い発信者情報開示請求が損害賠償請求の前に不可欠です。
弁護士のアドバイスを受けつつ、空振りリスクを冷静に判断し、損害賠償金の増額を図りましょう。

[参考記事] ネット誹謗中傷の慰謝料・損害賠償金が増えるケース

誹謗中傷を削除するだけでなく、さらに進んで発信者の特定、損害賠償請求をご希望の方は、お気軽に弁護士にご相談ください。

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